ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第17章 見失う自分と生い立ち
「ひなちゃん、お昼だよ。」
お昼ごはんの時間。
まこちゃんがごはんを持ってきてくれた。
なんでか、最近ずっとまこちゃんが持ってきてくれる。
朝食べれなかったからか、ごはんはお粥に変わってた。
「五条先生がお粥にしてくれたの。無理はしなくていいから、食べられるだけ食べてみて。」
と言って、まこちゃんが部屋を出た。
すると、夏樹くんが話しかけてくる。
「ひなの、大丈夫か?普通のごはん食べれないなんて…。ごめんな、俺が傷つくこと言ったよな。」
「ううん、違うの。夏樹くんのせいじゃない。ちょっといろいろ考えちゃって…。」
「ひなののこと、ちょっとだけ兄ちゃんに聞いたよ。学校、行かないんじゃなくて行かせてもらえなかったんだな。」
そっか、工藤先生から聞いたんだ。
どこまで聞いたんだろ。
でも、工藤先生がなんで知ってたんだろ?
五条先生がわたしのこと教えたのか。
「うん。だから馬鹿なんだ。へへっ。」
と笑ってみたけど、夏樹くんは悲しそうな顔してる。
無理して笑ったから余計にそれが伝わったのかも。
「ひなの。無理して笑うなよ。余計につらくなるだろ?俺こんなんだけど、話聞いてやるからさ。」
夏樹くんなりの、精一杯の優しさを見せてくれてる。
それだけで嬉しかった。
「ありがとう…。」
と言って、今度はほんの少しだけど心から口角を上げた。