ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第17章 見失う自分と生い立ち
そして、スプーンを手に持ってお粥を口に入れると…
うっ……気持ち悪い……
「…オェッ……ケホケホッ……」
「おい!ひなの大丈夫か!?」
胃に入れたお粥をそのまま吐き出してしまった。
でも、吐き気はまだ止まらない。
「すいません!!ひなのが吐きました!!すぐ来てください!!」
と、夏樹くんが自分のナースコールを押して状況を伝えてくれてる。
「オェッ…ケホケホッ…ハァハァ……」
苦しいけど、そんなことより夏樹くんに吐いてるところを見られたショックも大きい。
でも、気を遣ってくれてるのかナースコールをしたら、夏樹くんはずっと壁の方を向いてくれてる。
そして、すぐに五条先生とまこちゃんと、神崎先生も来てくれた。
「先生!ひなの、お粥一口入れた瞬間吐いてた!俺のカーテン閉めて!」
とわたしの代わりに夏樹くんが伝えた。
「夏樹くん、ありがとう。」
と言って神崎先生がカーテンをすぐに閉めた。
「オェッ…ハァハァ……ケホケホ……」
「我慢しなくていいから、出るもの全部出せ。」
と言いながら、五条先生が背中をさすってくれる。
神崎先生が受け皿を持ってくれて、まこちゃんはこれ以上気持ち悪くならないように、汚してしまったところを掃除し始めてくれた。
「ケホケホッ…ごめんなさい……ハァハァ……」
ベッドは汚しちゃうし、先生たちの前で吐き戻すし、自分が嫌で涙が出てくる。
「泣かなくていいから…。苦しいな、大丈夫だ。」
こういう時に限って五条先生は優しい。
その優しさで余計に涙がこみ上げてくるのに。