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ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜

第17章 見失う自分と生い立ち



_____数日後




胃の痛みや吐き気は少しマシになった。

ただ、食欲は相変わらず戻らなくて、気持ちも沈んだまま。

またひとり部屋に戻ってきて話し相手もいないので、今日もぼーっと窓の外を眺める。



わたしはずっとこのままなの…?

両親のこともよく知らず、自分が誰かわからないまま、この身体で生きて行くのかな…?



そんなことを考えてると、いつの間にかまた涙が出てきた。




コンコンコン___


「どうした?しんどいか?」




そして、こんな時にすごいタイミングで五条先生が入ってきて見られてしまった。




「グスン…大丈夫です。」



「大丈夫じゃないだろ。ずっと身体の調子も悪いんだ。ここは病院なんだぞ?医者や看護師が山ほどいるんだから、痛い時は痛い、苦しい時は苦しい、辛い時は辛い。身体のことでも心のことでも関係ない。ひとりで抱え込まずに伝えて欲しい。」




と言って、五条先生はベッド脇の丸椅子に座り、わたしの顔を覗き込んでじっと見つめてくる。



あぁ、五条先生のこの瞳…。

五条先生はなんでそんなにわかるんだろ。

黙ってても全部バレちゃう。

というより、黙ってる方がどんどん読み解かれていく。




「悩んでるんだろ?ひとりで考えてること話してみないか?ゆっくりでいいから…。」




と五条先生に手を握られて、わたしはゆっくりと口を開いた。


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