ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第17章 見失う自分と生い立ち
「自分は一体何者なんだろうって、ずっと考えてました。わたし、両親のこと何も知らなくて、小さい頃に死んだこと以外、いつ離れ離れになったのか、どんな人だったのかわからなくて。一生懸命記憶を辿ってみるけど、わたしはあの人のことしか知らなくて…。両親は知らないし、頭にも身体にもあの人の痕跡しかない。もうずっとこうなのかなって思うと、自分のIdentity(アイデンティティ)がわからなくて。結局、あの人のslave(奴隷)でしかなかったのかなって。その証拠に、身体にはたくさん傷が刻まれてるから…。」
すると五条先生が、
「無理に思い出そうとしなくても、ちゃんと昔の記憶はお前の中にあるぞ。」
「え…?」
「自分では気づいてないかもしれないが、よくカタコトになったり英語で話してる。さっきもいろいろ自分で言ってたの気づいてないか?」
え?そんな、わたしが英語話してるなんて全く…
「わかりません。そもそも、なんで英語なんて…」
「アメリカで育ったんだよ。」
え?アメリカで育った…?
そんなこと、まったく知らなかった…
だから夏樹くんは、あの人にも日本語変って…
でも…
「なんで…?」
「それはな…」