ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第111章 ポリクリ
それから、さらに数ヶ月後。
ポリクリが始まって、半年が経った頃のある日。
「…なぁ、ひなちょっと。」
「うん??」
就寝前、寝室に行こうとしたところを、まだお風呂上がりの五条先生に呼び止められる。
「貧血ひどいのか?」
「え?」
「鉄剤打ってもらってるだろ?前回いつだった?」
言いながら、下瞼をめくって見る五条先生。
Tシャツにスウェットに濡れた髪にバスタオル。
そんな姿で頬に触れられたら、ドキッ…とはしてしまう。
「先週の金曜日…です。」
「週1でしてもらうって言ってたよな?次また金曜か?」
「そうですけど、どうしてですか…?」
体調に気を遣いつつ、薬を飲みつつ、ついつい張り切る気持ちも抑えつつ。
おかげさまで滞りなく実習をこなしてきたものの、少し前から鉄剤注射をしているわたし。
症状にひどくは出ていなかったけど、忙しさや疲れからか数値がどんどん下がってるからと、早い段階で治療を始めた。
それなのに五条先生に突然そんなことを言われて、今度は違う方のドキッとがする。