ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第17章 見失う自分と生い立ち
それから、五条先生はわたしの両親のことを教えてくれた。
両親はこの病院のお医者さんだったこと。
アメリカの提携病院で働いていて、わたしが3才の時にテロで亡くなったこと。
その後はしばらくおじいちゃんと暮らしてたこと。
おじいちゃんは前の院長だったこと。
それに、ひいおじいちゃんがこの病院を作ったことも…
全然知らなかった。
わたしの家族がそんなすごい人たちだったなんて…
だけどそんな話を…
「どうして五条先生は知ってるんですか…?わたしのこと、なんでそんなに…」
「それは…ここの医師はみんな知ってる。創立者のひ孫なんだから。宇髄先生、工藤先生、藤堂先生に神崎先生も。お前のこと、みんな知ってただろ?」
そうか…
それでみんなわたしのこと知ってたんだ…
「奴隷なんかじゃないぞ。ちゃんと家族に愛されてたんだ。優秀な医師の家系、このノワールを生んだ栗花落家の、大切なひとり娘だ…。」