ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第111章 ポリクリ
「ひなちゃん。」
さっきの部屋から100歩も歩いたか歩いてないか。
藤堂先生について来たのは内科病棟の個室部屋。
ドアを開けてもらい、中に入り、かけられた声はさっきのピリついた先生でなく、いつもの優しい主治医の藤堂先生に戻っている。
そんな藤堂先生に、
「なんですか…?」
背中を向けたまま、突っかかった返事をするわたし。
「とりあえず座ろっか。」
言いながら、わたしに近づいてくる藤堂先生に、
「感染の恐れがあるので近づかないでください…。」
と、また突き返す。
当然藤堂先生も抗体があるんだろうから、わたしと一緒にいて問題ないことくらいわかってる。
でもだからこそ余計に、
……なんで、なんでわたしだけ…っ…。
さっきまでセミナー室にいて、みんなとクルズス受けてて、今だって白衣着てるのに、なんでわたしはここに…。
「…グスン。」
「ひなちゃんおいで、座ろう。」
藤堂先生の手がそっと背中に添えられて、一緒にソファーへ腰を下ろした。