ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第117章 変調
それから、その日は何事もなく実習を終え、藤堂先生の診察を受けてから家に帰った。
翌朝はやはり怠さを感じたものの、日中には忘れられる程度で、その翌日もそのまた翌日も、さらにそのまた翌日も、問題なく過ごせた。
けれど、そうして1週間ほど経った日の朝。
…っ。
目が覚めると、身体が鉛のように重くて、
…ぅっ。
なんとか上体を起こしたものの、重力に逆らうことを身体が拒んでいるのがわかる。
これ、立ち上がるのはやばいかもしれない…。
そう思った途端、頭から血の気が引いて、鼓動がいやに速くなり、
すぅ〜………ふぅ〜………
大丈夫大丈夫、一旦落ち着こう。
そう自分に言い聞かせるように、何度か大きく深呼吸をして。
とりあえず起きようとベッドを降りると、
…っ。
数歩歩いただけで身体と視界がぐわんと揺れ、リビングのソファーにドサッと身を沈めてしまった。