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ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜

第132章 つわり

-五条side-




「ただいま。ひな…。」




仕事が終わり家に帰ると、ひながトイレのドアを開けっぱなしで、便座を支えにへたり込んでいる。




「今動けそうか?ここじゃ余計にしんどいだろ…、廊下でいいから一旦出よう。」




つわりが始まった頃は、日や時間帯によって調子が良かったり悪かったりで、仕事をして動ける時もあったのだが……

食べては吐き、食べずとも吐き気に襲われ、匂いにも敏感になり、日に日に症状が酷くなっている。




「レモン水飲むか?」



「フリフリ…」




口にできるものがどんどん限られ、柑橘系のフルーツや巷で噂のフライドポテトなど、つわり中でも食べられそうなものは大概試したが、ひなが口にできたのは最終的にレモン水とマスカット。それもマスカットは冷凍に限る。

ただ、この数日はそれすら口にできなくなっているようで…




「ひな、もう病院行こう。さすがに見てられない…。」




癖で何気なく脈を取ったひなの手首がびっくりするほど細い。

もともとガリガリなのに、たった数日で一体どれだけ体重が落ちたのかと、病人を見慣れる俺すらドキッとなる。




「すぐ着くから辛抱してな…。」




なんとか車に乗せ、車内の匂いもダメなんで窓は全部空けて走らせる。


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