ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第133章 小さなヒーロー
「わたしのせいで、本当に、赤ちゃん死んじゃったかと……」
涙が滲み、鼻の奥がツーンとなる。
五条「ひな…」
悠仁さんが溢れた涙を指に取り、
「ごめんなさい…。切迫早産になんかなっちゃって…」
そう言うと、
宇髄「切迫早産はお母さんのせいじゃないよ。でも、ひなちゃんの気づかないところで、身体に負担がかかってたかもしれないな。だから、今日のことで赤ちゃんが教えてくれたんだ。"ママ頑張りすぎだぞ〜"って。これ以上頑張ったらお母さんが危ないって、お母さんを休ませるために教えてくれたんだ、きっと。」
「わたしのために、赤ちゃんが…?」
「ひなのお腹にしがみついてたって。誰に似たのか、この子も危険を冒したがるらしい。ひなに怖い思いはさせたけど、おかげでひなもこの子も大事に至らず済んだ。小さいけど、立派なヒーローだな。」
そう言って、悠仁さんがわたしの頭を撫でながら、お腹の上に手を乗せる。
宇髄「ひとまず落ち着いたが、しばらくは絶対安静だからな。子宮収縮抑制剤点滴してるけど、副作用ないか?点滴もしばらく続くから、何かあったらすぐ教えてな。少しでも具合が悪いとか、気になることがあれば、すぐにちゃんと言うんだよ。本当にちゃんと言うんだぞ……?」
大きな優しさと、優しさ故の厳しさ。
「はい…。」
わたしのお腹には、もうひとつの命がある。
この子のためにも、悠仁さんのためにも、自分の身体とこの子の声をしっかり聞いて大事にしなきゃ。
わたしは心でそう誓うように返事をした。
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