ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第20章 喘息と貧血と学校と
_____1ヶ月後
あの事件から1ヶ月以上経った。
鼓膜も肋骨も無事に治って、顔の傷とあざは跡形もなく消えてくれた。
腕は抜糸をしてかさぶたも取れたみたいだけど、傷を目立たないようにするために、数ヶ月か半年くらいはずっとテープを貼るみたい。
わたしは、怖くてまだ傷跡を見たことがない。
「ひなちゃん、テープ交換しよっか。」
夕方、ごはん前にシャワーを済ませると、まこちゃんがテープを交換しに来てくれた。
「傷はちゃんと良くなってきてるよ。五条先生、すごく綺麗に縫ってくれたね。」
そう。この腕は、身体の傷を気にしてたわたしのことを思って、なるべく痕が残らないようにって五条先生が縫ってくれたって。
抜糸の時に五条先生からドヤ顔で言われた。
「そういえば、腕って何針縫ったの?」
「10針だったかな。」
「じゅ…10針も!? 聞かなかったらよかった…。」
「でもね、普通よりだいぶ細かく縫ってあったから、傷はそんな大きくはないよ?はいっ、おしまい!」
「まこちゃん、ありがとう。ケホケホッ…」
「あれ?ひなちゃん、また咳出てきたね。大丈夫?」
あの事件があって、しばらくずっと安静にしてたから喘息の発作は起きてなかったけど、最近喉がイガイガするし、少し嫌な予感はしてる…
でも!
「大丈夫、五条先生に言わないで。」
「ははっ。それはどうしようかな〜。」
うっ…
まこちゃん絶対言う…
「梅雨の時期だからね。そろそろ明けるとは思うけど、喘息も悪化しやすいから。もし、具合悪くなってきたらすぐに教えてね。」
と、まこちゃんは部屋を出て行った。