ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第19章 夢と過去の記憶
「ひな?ひなはな、処置室へ運ぶ途中に呼吸がおかしくなったんだ。蘇生して助かったけど、だから5日間も目が覚めなかった。3日間は高熱も出して危険な状態だった。」
え…?わたし、そんなに酷かったの…?
「でも、逝かずに戻ってきてくれただろ?なんで戻ってきた?」
五条先生の瞳がずっと見つめてくる。
なんでって…
「夢を見てて…、ダディーとマミーが戻りなさいって…。」
「ダディーとマミーが戻してくれたんだろ?ダディーとマミーからもらった大切な命なんだ。なのにそれを殺してなんて…何言ってんだこのバカもんがぁ!!!」
いつの間にか五条先生はまたわたしを抱きしめてる。
すっごく怒ってるのに、なぜか声が怒ってない…
怒ってるけど、それ以上に悲しそうで、苦しそうで、抱きしめられる力もすごく強くて…
「だって…ヒック…またあの人の傷…、顔にもつけちゃったのに…、こんな身体よりみんなに会いたくて…。トムとの約束も守れなかったから…ヒック…ヒック…」
「約束なら守っただろ。どんだけボロボロになっても、辛くて悲しくても生きててくれて、えらかった…。顔も傷つけないで、かわいい顔見せくれてうれしかった。また会えたんだから、これからはずっとそばにいるから、死ぬな。生きろ。」
"トクン"
「ハァハァ…ごめんなさぃ…ヒック…ごめんなさぃ、ごめんなさい…ケホケホッ…ッハァ…ッハァ…ゲホゲホゲホ…ッハァハァ…」
そうして、わたしは五条先生の胸の中でまた意識を手放していた。