ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第20章 喘息と貧血と学校と
「学校、本当に行っていいんですか…?」
「あぁ。今すぐはもちろん無理だけど、しっかり食べて治療して、体重増やして体力つけて、喘息も貧血も良くなればな。」
夢見たい。
学校行っていいなんて、そんなこと言ってくれるなんて…
「行きたい、わたし、学校行きたいです!」
さっきまでうつむいてた顔をあげて、五条先生の目をしっかりと見ながら言った。
五条先生は微笑んでた。
「あ、でも、わたしなにも持ってない…」
あの事件の後、警察が来ていろいろ話をしたりした。
その時、家にあるもので自分の手元に残したいものがあるかと聞かれたけど、服くらいしか思い浮かばないし、あんな家にあるものなんてと何もいらないと答えた。
それでも、病院で用意されたもので生活できてたから、自分の物って持ってない。
今着てるパジャマとボロボロの学校の鞄。
始業式だったから、シャーペン1本に消しゴムしか入ってないし…
「全部用意してやるから気にしなくていい。制服や勉強道具や鞄も、新しいの用意してやるから、心配しなくていいぞ。」
「え?でもわたしお金ないしどうしたら…。そういえば、病院のお金もわたし払ってない!!」
「バカか!金のことなんか気にするな。お前はこの病院作った人のひ孫なんだし。そもそも、金のことなんて考えないで身体のことを考えなさい!」
「はい…」