ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第24章 五条先生の提案
「顔を上げる。そんなすぐ俯くな。」
さっき上げた顔はまたうつむいてた。
でも、2回目はすんなり上げる気持ちにならない。
すると、隣に立ってた五条先生が椅子に座って、
「こっち向いて。」
と五条先生はわたしの手を握った。
わたしは反射的に五条先生を見る。
「ネガティブ思考に入ると抜け出せないタイプか?そんな暗い顔するな。」
「そんなこと言われても…」
「退院はできるぞ。元気な人は入院なんてする必要ないだろ?」
…?
五条先生は、突然、一体、なにを言っているのか…
「元気になってもわたしは退院できません。仮に退院したとして、住む家もなければお金もないから生きていけません…」
「退院はしたくないか?」
「だから、できません。」
「できるできないじゃなくて、したいかしたくないか聞いてるんだ。退院できるとしたら、したいか?したくないか?」
「したいけどできません。わたしの答えはできませんが正解なんです。」
「じゃあ、もし、退院した後に住む家があって、お金もあったらどうする?」
「…え?」
五条先生、なんでこんなこと聞くんだろう。
わたしが退院できないことわかってるよね?
だって、そもそもわたしに帰る場所がないってことは、五条先生が言ったことだし。