ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第25章 退院
コンコンコン___
「おはよう。」
「おはようございます。」
「聴診するぞ。」
「はい。」
五条先生が首からステートを外して、チェストピースをわたしの胸に当てる。
そして、すごく真剣な顔で音を聞く。
こうして五条先生に聴診してもらうのもこれが最後。
「…ん?あれ、心臓の音が…」
「…えっ?」
心臓の音が…、なに?
「ちょっといつもより騒がしいなぁ…」
と言いながらステートを耳から外し首にかける五条先生。
え?
わたし、今日これから退院するんだよ…ね?
もしかして…
「五条先生?わたし、今日退院できな…」
ぽんっ…
わたしが言い切る前に、五条先生が頭にぽんっと手を乗せて見つめてくる。
「なにをそんなにドキドキしてんだ?心臓、やかましいぞ。」
「え?」
心臓がやかましい…って?
つまり、退院はできる、ん?いや、できない?どっち?
「はははっ。そんな顔しなくても大丈夫だ。こんなに元気な心臓、何の問題もない。肺の音も大丈夫だ。退院できるぞ。」
はぁ…、なんだよかった…
「一瞬退院できないかと思いました…」
「ふふっ。ひなちゃんよかったね。これで本当に退院決まりだね!」
「11時頃に出るから、着替えて準備しとくんだぞ。」
「はい!」