ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第25章 退院
「ここは風呂と洗面所な。とりあえず手洗いうがいして。いいか?帰ってきたら毎回ちゃんとするんだぞ。」
「は、はい。」
そんな洗面所はとても綺麗で、洗面台は広々。
なんだこのお家は…
手洗いうがいをして、次に案内されたのは…
「ここ、わたしの部屋…?」
勉強机にソファーにドレッサー。
床には薄いピンクのラグも敷いてあって、女の子らしいお部屋になってる。
さっき見たリビングやバスルームのスタイリッシュな感じとはここだけ違う。
「あぁ。とりあえず必要そうなものは揃えといたけど、足りないものや欲しいものがあったら遠慮なく言えばいい。」
そんな…
自分の部屋があるだけで十分すぎるくらいなのに…
わたしのために、こんな素敵なお部屋用意してくれて…
「五条先生、本当にありがとうございます。わたし、自分のお部屋なんて初めて…」
うれしくてうれしくて目から溢れた涙を、五条先生は指でそっと拭いてくれた。
「おい、泣くな。せっかく退院したんだから…」
「グスン…すごくうれしくて…」
五条先生が微笑んでくれる。
「クローゼットに服入れてあるからとりあえず着替えろ。俺はリビングで待ってるから。」
「はい。」
これまで普段着なんて持ってなくて、病院からここまでは制服を着てきた。
さっそく、ウォークインクローゼット見てみると、
「わぁ…」
クローゼットにはかわいいお洋服がいくつか掛かっていて、引き出しにもズボンやパジャマや部屋着などが入ってた。
わたしにとってはもう服屋さんにいるような気分。
とりあえず、引き出しに入ってたかわいい部屋着に着替えてリビングに行った。