ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第26章 退院したって甘くない
「ひな〜?焦るとどんどん苦しくなるからゆっくり呼吸だぞ。心配しなくても帰れるから、な?」
「ケホケホッ…うぅ…ヒック…スー…ハァハァ…ゲホゲホゲホッ…スー、ゲホゲホゲホッ!! ッハァハァ…ハァッ…五条、せんせっゲホゲホゲホッ…」
あぁ、もうダメだ…
完全に発作になってる、もう自分じゃ整えられない…
「大丈夫大丈夫。頑張って深呼吸しような。」
と言いながら、五条先生はナースコールしてるということは、
コンコンコン___
ほら、誰か来た。
わたしやばいんだ。
もうやだ…
「ひなちゃーん、もう大丈夫だよ。すぐ楽になるからね、落ち着こうね。」
あ、藤堂先生…
「ちょっとチクッとするよー。」
え?
ビクッ!!
「ん!! ッハァハァ、痛ぃ…ッハァハァ…ケホッケホケホッ…」
注射された…
五条先生に袖まくられてたのも全然気づいてなかった。
「ごめんね、痛かったね。」
ひどいよ、急にされたら痛いじゃん…
でも、少し発作が落ち着いてきてもう一度横になった。
さすがに疲れてぼーっとしてくる。
「ひなちゃーん、もしもしするから深呼吸しててねー。」
藤堂先生が聴診をして、五条先生に挟まれた体温計がピピッと鳴る。
「39度ちょうどです。」
「うん。来た時と同じだから、これ以上は上がらなさそうだね。」
なんとなく聞こえる先生たちの会話。
結局、わたし大丈夫なのかな?
「ひな、もう大丈夫だからな。お熱高いけどしっかり寝たら治るから。」
と五条先生の手のひらがおでこに乗せられた。
あったかいけど、冷たく感じる。
「寝れそうか?」
コクッ…
「寝るまでここにいるからな。安心して休め。」
という声が聞こえて、安心したわたしはやっと眠りについた。