ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第29章 人海戦術
そして夜…
「ひなちゃん!久しぶり!」
吸入へとわたしを連行しにやってきたのは工藤先生。
去年、退院してすぐに夏樹くんにチクられた以来だから、10ヶ月ぶりくらいに会った。
「どうして、工藤先生が…?」
「五条先生と神崎先生、少し忙しくて。ごめんな、俺じゃ嫌だった?」
いや、そんなことないしそんな言い方されたら吸入が嫌ですとも言いにくい…
「嫌じゃないです。」
「うん!そしたら行こう!」
と、それはそれは元気に白い歯を見せられて渋々ついて行き…
「ひなちゃん、マスク押さえといてあげるから手離してもいいよ。しっかり吸ってな!」
と、これまた元気いっぱいに余計な…
いや、ご丁寧にマスクまで押さえてもらって吸入を終えた。