ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第29章 人海戦術
「どういうつもりもなにもないです!!治そうとしてたのに、頑張ってたのに修学旅行行かせてくれないのだってどういうつもりなんですか!?」
「ひなの身体が大事だからだろ!!頑張ったのはわかるけどまだ良くなってないんだ。調子悪いのに無理して行って取り返しのつかないことになったらどうするんだ!!」
「取り返しのつかないようなことになる身体ならなおさら治療なんてしなくていいです!!どうせ治ってもまた悪くなるんだから!!先生たちの言いなりは嫌!身体なんてどうでもいいから好きにさせてよ!!」
と言い返すと、
「ひなのっ!!いい加減にしなさい!!!」
………ハッ!!
五条先生は左手でわたしの腕を掴みながら、右手を思いっきり振り上げた。
そしてその瞬間、止まっていた身体の全制御機能が動き出すようだった。
「嫌ぁぁぁっ!!!」
五条先生の腕を思いっきり振り払ってベッドを飛び降りた。
そして、床の上で頭を抱えて座り込んだ。
身体の震えが止まらない。
「わ、悪いっ…!ひなごめんっ…。」
って声は耳から耳を通り過ぎていくだけ。
「ハァハァッ…ごめんなさいっ…ゲホゲホッ、ごめんなさっ…ハァハァ、ごめんなさぃ…ごめんなさぃ…ゲホゲホゲホゲホッハァ…ハァハァ、ハァハァ…」
「ひな、もう大丈夫だから落ち着いて。怒ってないから。」
優しい五条先生の声がする。
優しい五条先生の手が肩に触れる。
だけど、怯えきった身体は元に戻らない。
「嫌ぁっ!ゲホゲホッ…ッハァ、ッハァ…やだ…ハァハァ、ゲホゲホッ…ッハァ、ッハァ…ハァハァ……ッハァ………ッハァ」
「ひな、ちゃんと息して!意識保て!」
と言われたけど、もちろんそんなことはできず。
わたしは意識を手放した。