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ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜

第38章 大事なお話①

-ひなのside-




気づいたらもう夜だった。

窓の外を見てたら、日の長い夏の空もどんどん薄暗くなっていく。

運ばれてきた夜ご飯にも一切手はつけず、ただぼーっと窓の外を眺めた。



コンコンコン___



たぶん藤堂先生かな。

誰か入ってきたけど扉の方を向く気にもなれない。

しばらくひとりにして欲しいな…



って思ったら、




「ひな。」




…五条先生。



五条先生の声聞くの久しぶり。

そういえば、病院に来てから1回も会ってなかった…

主治医が変わったから、入院したら家でも病院でも会えなくなることに今気づいた。

そして、五条先生と会えなくて寂しかったということにも今気づいた。



さっきまで見えてた外の景色が見えなくなった代わりに、五条先生の白衣が目に映る。




「ひな、ご飯食べれないか?」




椅子に座ってそう言う五条先生の声はすごく優しい。

いつもは食べないと怒られてたのに、今日は全く怒ってない。

そんな五条先生に、わたしは俯いたまま返事すらできない。




「ひな顔上げて。」




そう言って、頭にぽんっと手が乗せられた。

その瞬間、胸が熱くなって込み上げてくるものがあったけど、グッと飲み込んで耐えた。


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