ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第38章 大事なお話①
「久しぶりだな。って、俺は毎日見に来てたのにいつもひな寝てたぞ。まぁ、ほとんど夜に来てたんだけどな。」
そうなんだ。
五条先生来てくれてたんだ。
起きてる時に来てくれればいいのに。
「なぁ。せっかく久しぶりに会ったのに、俺の顔見たくない?」
今五条先生を見てしまうと、堪えてるものがきっと溢れ出す。
だから顔を上げたくない。
「思春期です…」
「ぷははっ。なんだそれ。新しい言葉覚えてそれだけ使っとけばいいと思ってるだろ。」
笑ってる五条先生の顔見たいな。
怒りん坊の笑顔はレアなのにな。
「ひーな。そろそろ顔上げないか?」
ぽんぽんっ…
って、また頭ぽんぽんされた。
その優しい手すごく安心する。
「はぁ。思春期は難しいな。」
と言いながら、椅子に座ってた五条先生は立ち上がってベッドに腰掛けて、わたしの身体を横からギュッと抱きしめた。
びっくりして五条先生を見ちゃって、五条先生の瞳とぶつかった。
そして、わたしの目から一気に涙が溢れ出した。
「五条先生…」
「大丈夫だ。」
怖い、不安、ショック、悲しい、
会いたかった、寂しかった、辛かった、
いろんな感情があるけど、五条先生はきっとその瞳で読み取って、ただ一言"大丈夫"って微笑んで、今度はギュッと前から抱きしめてくれた。
「グスン…グスン…、ヒック、怖い…」
「怖いな。」
「手術なんてしたくない…グスン」
「そうだな。」
「グスン、グスン…なんで…?なんでこんなことになるの?…ぅ、うぅ、うわぁ〜ん!!」
「うん。」
ただただ泣いた。
五条先生の胸の中で泣くことしかできなかった。
五条先生も何も言わずに、ずっと頭と背中を撫でながら抱きしめてくれてた。