ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第5章 ひなのを襲う恐怖①
_____数時間後
「スー…スー……ん……」
あれ…?
わたし、病室にいる。
あれからどうなったんだっけ…?
「目覚めたか?」
ビクッ…
五条先生…
「気分は?悪くないか?」
声が優しくなった。
怒ってないのかな…?
「なんでさっき逃げたんだ?なんで逃げようとした?」
ビクッ…
やっぱり怒ってる…?
「怒ってないし、怒らないから言いなさい。」
な、なんでわたしの考えてることがわかったの…?
それに五条先生のすごく綺麗な瞳の奥には、まるで全てを見透かすかのような鋭い光が灯ってる。
そんな目で聞かれて答えないわけにはいかないよ…。
「…ぃ…ぇ……。」
「ん?」
「家に…帰らないと、殴…、怒られる……。」
「そういうことか…。それならもう大丈夫だ。もう帰らなくていい。ここが家だ。」
え…?
今、なんて…?
「家の人は警察に捕まった。だから、もう家には帰らなくていい。帰る場所もない。ここにいれば安全だから、もう心配しなくていい。」