ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第6章 病院生活のはじまり
「あれ、ひなちゃんごはん食べられなかった?」
ほとんど手付かずのごはんを見てまこちゃんが言う。
昨日から食事が出てるけど、まったく食欲が湧いてこない。
食べ物が目の前にあるのに食べたくないなんて初めて…。
…コクッ
と、まこちゃんに頷いた。
「そっか。これから少しずつ食べられるようになろうね!」
まこちゃんは本当に優しい。
いつもニコニコしてて、怒ったりしない。
「ひなちゃん、お熱測るねー。」
ビクッ…
まこちゃんが脇に体温計を挟むんだけど、こうしていつも身体が震える。まこちゃんは怖いわけじゃないのに。
そして、ピピッと音がなってまこちゃんが体温計を取るとき、またビクッてなった。
ごめんね、まこちゃん…。
「次は血圧測るねー。」
今度は血圧。ここでは、毎朝体温と血圧を測るみたい。
右腕の袖がまくられて、カフを腕に巻きつけられる。
シュッ、シュッ、シュッ、シュッ……
まこちゃんが加圧を始めると、腕がきゅーっと締め付けられてきて少し痛い。それに、血管がドクドクして怖い。
そして、ここでも毎回身体がビクッとなってしまう。
「ごめんね、ちょっと腕がきつくなって痛いよね。すぐ終わるからね。」
と、まこちゃんはわたしの気持ちがわかるのか、いつも優しく声をかけながらやってくれる。