ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第52章 検査と再発
「ひなちゃん。」
「はい…」
「元気ないな。検査の疲れがまだ残ってるかな?」
「いえ…。それはもう大丈夫です。」
「そうか。それじゃあ、食欲落ちちゃった原因は治療のこと?」
バレてるって言っても、もう今日はそれしかないか…
「やりたくないです…」
「そうだな。治療はどうしてやりたくない?ひなちゃんの気持ち聞かせてくれる?」
宇髄先生もちゃんと聞いてきてくれてる。
五条先生や藤堂先生と同じ。
だけど嫌な理由なんて、嫌だから嫌としか…。
「嫌だからです…」
「何が嫌かな?見られるのが恥ずかしくて嫌とか、痛いのが嫌とか。」
「…全部」
「そうか…。じゃあ、治療せずにこのままお腹が張り続けて、痛みもどんどん強く出るようになって、子宮の病気になって、将来赤ちゃんができなくなるかもしれないけど、それでも良いか?それとも、今、治療頑張って治すのがいいか?」
…宇髄先生ひどい。
そんな意地悪なこと言わないでよ。
優しい顔して、なんで鬼みたいなこと言うの?
そんなの後者に決まってるじゃん。
でも、怖いんだもん…
宇髄先生の質問には答えられないまま、膝の上に置いた自分の手の甲に、ポタポタッと涙がこぼれ落ちた。