ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第57章 呼び起こされた過去
「ひなちゃん、点滴抜いちゃったの?」
とすぐに腕を掴んで確認する藤堂先生。
「ひなどうしたんだ、何があったんだ…?」
と同時にわたしの背中に手を添える五条先生。
不思議なことに、2人とも全く怒らない。
むしろ、すごくわたしのこと心配してくれてるみたいで、逆にそれがとんでもなく苦しかった。
「やめて…、お願い、だから…、触ら…ないで…。」
震える身体で震える声で、掠れた声をなんとか絞り出すけど…、
「ひなちゃんごめんね、腕の処置だけさせて。」
「ちょうど着替えも持ってきたんだ。パジャマ着替えよう。」
って2人ともわたしから離れてくれなくて…、
「ハァハァ…やめて……ハァハァ、離し…ハァハァ、て…」
とパニックに。
そして、部屋を出ようとベッドを降りて、
パタッ…
一歩も歩けず、膝から崩れて前に倒れた。