ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第57章 呼び起こされた過去
「ハァハァ、ケホケホッ…ヒック…ぃゃ…ッケホケホ…ハァハァ……ゲホゲホゲホッ!!」
「ひな、ちゃんと呼吸しとくんだぞ。大丈夫だ。ちょっと診させてな。」
呼吸ができなくなってきたひなをベッドに寝かし、すぐに体温計を挟んで、足元に湯たんぽを置いた。
その間に藤堂先生は聴診をする。
「ひなちゃん、苦しくなっちゃったね。すぐ楽にしてあげるからもう少し頑張ろうね。悠仁、体温は?」
「37度4分です。」
「身体が冷えてるからか…。まだそこまで上がってないね。悠仁は腕の傷お願い。俺はこっちから点滴入れる。」
「はい。」
と、藤堂先生とベッドの両脇からひなの処置を進める。
黒柱はみんなそうなんだが、今の藤堂先生と俺の動きは一切無駄がないだろうと、我ながら感じるほど互いの息が合う。
ひなはベッドに横になって安心したのか、もう体力が尽きたのか、ますますぐったりとして荒い呼吸だけを繰り返してる。
「ケホケホッ…ハァハァ……ハァハァ……」
藤堂「ひなちゃん、もう目閉じていいよ。お目目開けててくれてありがとう。少し眠ってゆっくり休もうか。」
と言いながら、点滴の針を腕に刺す藤堂先生。
ひなはいつもみたいに顔を歪めることもなく、そっと目を閉じて眠りについた。