ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第64章 大事な生理
産婦人科へ入ると、中は相変わらず高級ホテルのロビーみたい。
「ぁ、あの…検診に来ました……」
この産婦人科独特の雰囲気に緊張して、消え入りそうな声で診察券を受付の人に渡すと、
「こんにちは。栗花落さんですね。5番でお呼びしますので、かけてお待ちください。」
と優しいお姉さんに番号札を渡されて、待合室の端っこの椅子に座った。
周りにいるのは大人ばかり。
お腹が大きい人もそうでない人も、彼氏か旦那さんと来てる人も。いろんな人がいるけど、制服着た高校生なんてわたしだけ。
すごく浮いてる気がして、これだから婦人科検診なんて…と俯いたまま、じーっと順番が来るのを待った。
そして、
「ひなちゃん」
少しして聞こえたのは、番号じゃなくてわたしの名前。
聞き慣れた声にパッと顔を上げたら、宇髄先生が。
「ごめんね、遅くなって。待たせちゃったな。」
ん?と思ってモニターを見ると、呼ばれる順番が前後してたみたいで、もう7番の人が診察を終えていた。
宇髄先生はどの科目も診てるけど、さすがに外科以外の外来を担当することは稀なようで、いつもわたしのためにわざわざ来てくれてるそう。
「大丈夫です。ぼーっとしてたので。笑」
「ははっ。よし、診察室入ろうか。」
と、宇髄先生について行って診察室へ。