ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第67章 鉄剤注射
「と…と…藤堂先生……?」
藤堂「うん?どうしたの?」
「今から注射するのって、この、大きい黒いやつですか…?」
祥子さんが持ってるトレーには、見たことないサイズと色の注射器が…。
藤堂「うん。5分くらいで終わるからね。」
ご、ご、ごふん…
背中を変な汗が伝っていく。
そして、もうすでに意識が遠のきそうなほどの恐怖で、
祥子「ひなちゃん腕ごめんね。」
と、祥子さんに掴まれた左手を反射的に引っ込めた。
祥子「あらあら。笑」
藤堂「はい、ひなちゃん頑張るよー。」
今度は藤堂先生に腕を掴まれて、袖を捲られて、身体はブルブル…
藤堂「ひなちゃん、そんな緊張しなくて大丈夫。祥子ちゃん注射上手だから。」
祥子「ちょっと、プレッシャーかけないでください。笑」
って先生たちは和やかだけど、さすがにあんな大きな注射を見てリラックスできるわけがなく、ガチガチになって天井を見つめる。
藤堂「ひなちゃん、僕の方向いててごらん。」
藤堂先生はそんなわたしの頬に手を添えて、顔の向きをそっと藤堂先生の方へ倒す。
そして、腕を消毒されて身体がビクッと。
あぁ、針刺される…
って目を閉じて覚悟を決めたら…
藤堂「ねぇ…五条先生のどこが1番好きなの?」
「ふぇっ!?」
一体何を血迷ったのか、藤堂先生が突然耳元で囁いてきた。