ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第67章 鉄剤注射
藤堂「教えてよ。」
「ふぇっ!!?」
なぜ今このタイミングでそんなことを聞いてくるのか。
祥子さんに聞こえないようにしてるつもりなのかな?
でも、コソコソ話したってどう考えても聞こえる距離。
わけがわからずテンパってしまう。
「あぁぁの…えぇぇと……ぜ、ぜんぶ。全部好きですっ…!」
藤堂「全部はなしだよ。もっと具体的に、何か一つ挙げて?」
「ひ、ひとつ…、ぇ、えっと……」
五条先生の好きなところなんて山ほどあるのに、こんな時に限って全然思い浮かばない。
それに、藤堂先生の顔が近くて耳元に吐息があたるから、そっちが気になって気になって…
藤堂「ほーら。早く教えてよ。制限時間はあと1分だよ?」
「い、いっぷん…⁉︎え、えっと……」
ま、まず外見が好きだよね。
顔はかっこいいし背は高いし、スラッとしてるけどちゃんと鍛えられてるし、優しい手も匂いだって好きだし、それにあの綺麗な瞳も……
って、外見のこと言ったらなんか面食いみたいかな…?
中身中身っ。中身はえっと…、
優しい…
たくさん怒られるし怖いけど、五条先生はすごく優しい…。
って、優しいって言うのもありきたりかな?
普通過ぎるし、他のみんなも優しいわけだし、そんなんじゃ五条先生のかっこよさが伝わない気がする。
あぁ、どうしよう。好きなところ、好きなところ…