ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第68章 お父さんとお母さん
そして、夜。
「ひなちゃん、こっちいらっしゃい。」
お風呂から出てリビングに行くと、ソファーに座るお母さんに呼ばれた。
五条先生とお父さんは、ダイニングでお酒を飲んでるみたい。
「はい。」
と返事をしてソファーに座ると、
「これね、アメリカから持ってきたの。よかったら見てみない?」
と一冊のアルバムを手渡された。
「ひなちゃんがうちにいた時のアルバムよ。ひなちゃんのお父様とお母様の写真もいくつかここに挟んであるの。見ると寂しくなるかとも思ったけれど、今日たくさんお話しできたからどうかなと思って。」
これを開けば、昔の記憶がさらによみがえってくるだろう。
それは幸せなだけでなく、お母さんが言うように、寂しさに襲われるかもしれない。
でもこれは、わたしが幸せに暮らしてた数少ない証拠。
取り戻さなきゃいけない思い出が詰まってるんだと、ゆっくりと記憶の扉を開いた。