ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第69章 お父さんの心配事
「あらあら。とりあえずここに座りましょうか。ごろんとなってもいいわよ。」
そう言ってわたしをソファーへ寝かせたお母さんは、慣れた手つきで体温計を挟み、脈を取り始めた。
おバカなわたしは、ここでお母さんが助産師だったことを思い出す。
そして、初めからお母さんに誤魔化そうだなんて無茶だったなと…
「ひなちゃんいつからしんどかったの?」
「起きた時から…」
「それで起きるの遅かったのね。覗きに行けばよかったわね。ごめんね、気がつかなくて。」
と言いながら体温計を取ると、
「37度7分ね。うーん…」
って、何か考えるようにおでこや首を触られる。
「お母さん……どうしよう…グスン」
そんなお母さんを前に、わたしは堪えてた涙が。
「修学旅行があるのに……また熱出しちゃった…グスン……行けなくなっちゃう、どうしよう…病院もやだ……お母さん助けて…グスン」
「ひなちゃんしんどいのね。大丈夫大丈夫。泣かなくていいのよ。とりあえずゆっくり休みましょうか、ね。」
と、落ち着いた様子で氷枕やタオルケットを用意して、そのままソファーで寝かせてくれた。