ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第9章 食欲不振
ひなのの病室を出た2人は、
「藤堂先生、ありがとうございました。先生のおかげでよく食べました。」
「ひなちゃん、少しずつ会話もできるようになってきたね。」
「それが、俺にはまだあまり話さないんです。嘘ついて誤魔化そうとするし。つい叱ってしまうからか、信頼されてないんでしょうね。」
「そうかな?俺にはそうは見えなかったけど?今までは、自分の思ったことや感情を表に出すことは許されてこなかった。本心を言うと殴られてきた。だから、今も本心を隠そう隠そうと黙っちゃうんだと思うよ。でも、ひなちゃんは賢い子だから、一方で、悠仁にはいろいろ見透かされるってこともわかってる。黙れば黙るほど、悠仁に頭も心も読み取られちゃうもんだから、そうさせないように、本当のところがバレないように嘘もついちゃうんだろう。」
「でも、診察の時もまだビクッとするんです。まこちゃんにはしなくなったのに…」
「そんな落ち込まないで。さすがに恐怖心が根強くて身体が反応しちゃうんでしょ。そんな顔しないでさ、ひなちゃんもさっきその顔見てたよ?大丈夫。焦らず行こうよ。」
「はい…」