ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第10章 眠れない夜
そんなことを思い出したせいか、気づけば身体が震えて、呼吸も荒くなってた。
「ッハァ、ッハァ……ハァハァ…ッハァハァ………」
「落ち着いて、ゆっくり深呼吸するぞ。大丈夫だ。」
布団をめくって、五条先生が背中をさすってくれる。
でも、苦しさが治らない。
だんだんと発作が起きてしまった。
「ハァハァ…ッハァ、ケホッ、ケホケホケホッ……ッハァハァ………」
「ごめん、ちょっと身体起こすな。」
と、どんどん呼吸が荒くなるわたしの身体を起こすと、五条先生もベッドに腰掛けてわたしの身体を支えながらまた背中をさすってくれた。
「ゆっくりゆっくり。大丈夫だから。ちょっと吸入するよ。口開けて。」
すると、先生はポケットから何かを取りだし、わたしの口に当てて呼吸に合わせてボタンを押した。
「ハァハァッ…ッケホ……ハァハァ………ッハァ……ッハァ………」
「ゆーっくり呼吸続けて…」
いつもは恐怖のこの低い声も、優しく言われるとその低音の響きが落ち着く。
「スー…ハァハァ…スー…ハー……」
あれ、楽になった…