ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第10章 眠れない夜
「落ち着いたな。ちょっと胸ごめんな。」
発作が治まると、五条先生はわたしを支えながら胸に手を滑り込ませて聴診した。
ビクッ…
「……まだ怖いか?俺のこと…怖い?」
身体がガタガタ震えて説得力は0だけど、首をブンブン横に振った。
「ごめんなさい。身体が勝手に…」
すると、
………‼︎
わたしは突然、五条先生の胸に抱き寄せられた。
「震えてもいいから、少しこうしてよう。つらいこと思い出させて悪かった。もう大丈夫だ。」
"トクン"
……あれ?
五条先生の匂い…なんだろ、なんか…懐かしい…?
そんな感じがする。
なんの匂いだろう?
わたし、この匂いを知ってる気がする。
「何が怖い?何が怖かった?夜眠れない理由があるだろ。話せるか?」
「…ヒック…ヒック……夜は…あの人が家にいるから…。だから………ヒック…」
気づけば涙を流して五条先生の白衣を握り締めながら、思いのままにひたすら夜眠れない理由を話してた。
五条先生はわたしを抱きしめたまま、静かにそれを聞いてくれた。
「そうか。ずっと怖かったな、ひとりでつらかったな。」
背中を撫でながら頭も撫でてくれる。
優しくて大きな手。
まこちゃんが優しいって言ってたのは本当だったな。