ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第76章 オープンキャンパス
「うん、全然大丈夫だよ。」
「全然大丈夫に見えねーんだけど。」
と、3分の1も減ってないノワール医大名物ふわとろオムライスに視線を落とす。
夏樹くんはもう食べ終わりそう。
「ひなのが好きなオムライスも食べれないってことはしんどいんだろ?」
「しんどくないよ。ゆっくり歩いたから本当に平気。」
「そうじゃなくて。今は心がしんどいんじゃねーの?身体でも心臓でもなくて、心が。」
えっ?
夏樹くん、いつからそんな…
「やめてよ、そんな先生たちみたいな、わたしのことなんでもお見通しみたいなこと言うの。心も身体もどっちもしんどくないよ。」
「嘘つけ。朝はずっと泣きそうなの我慢してて、五条先生と言い合って、藤堂先生の話聞いて。オーキャン来て少し元気になったかと思ったら、なんか悩んだ顔してる。」
「…っ、そんなことないから。確かに心臓のことはちょっとびっくりしたけど…でも不整脈があるとか前に言われてたし。心臓悪いのは元々知ってたから平気だって!」
と、大きめのひと口をスプーンに乗せて、口のいっぱいに詰め込んだ。