ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第76章 オープンキャンパス
すると、
「あのさ、ひなの。今ここで本当はどうなんだ?なんて言うのはやめとくけどさ…俺、いつでも話聞くからな。今日みたいに、みんなに責められたり怒られたり…いや、まぁそれもひなののためなんだけど、やっぱり逃げ場がなくなるとつらいだろ?そういう時は、俺がいつでも話聞くし、泣きたきゃ肩だって貸すから。」
夏樹くん…
「一緒にこの大学入って、これから先も俺たちの付き合いは続くだろ?だから、いつでもひなのの味方になるから、それだけ忘れんなよって言いたかった。」
「…や、やめてよ。夏樹くんにそんなこと言われると調子狂っちゃうじゃん。」
ありがとうって言えばいいのに、素直にそうは言えなかった。
悔しさか、焦りか、寂しさか。
あんなにバカだった夏樹くんなのに、いつでもわたしの味方だなんて、いつの間にそんなこと言うようになったんだろう。
わたしは自分のことで精一杯なのに、夏樹くんは人のことを考える余裕があって、夏樹くんですらちゃんと大人になってる。
わたしはひとつも成長してないのに…
そんな気持ちを隠すように、残ったオムライスを次から次へと、止まることなく口に放り込んでると、
「ちょ、無理して食わなくていいって!食えない分俺が食べるから。」
「大丈夫っ。全部食べれるからちょっと待ってて!」
「わかった、わかった。それじゃあ落ち着いてゆっくり食えって。俺いくらでも待つから、な?ひなのの好きなもの、ひなのがいらないって言わない限り、取って食べたりしないから。」
と、子どもみたいなわたしを前に、夏樹くんはここでも余裕を見せた。