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ドSな兄と暮らしています

第4章 見つかったもの

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次の日の夕方18時から、デンタルクリニックの予約を取られてしまったので、重い足取りで兄ちゃんの職場へと向かう。

兄ちゃんの働いているデンタルクリニックは、家から歩いて15分くらいのところにある。

駅前で栄えているのもあって、ビルの1階に埋め込まれるような形で開いていた。
外装は新しく、ガラス扉なんかは、美容室をイメージさせる。入ってみると、白と黄色で淡く統一された、綺麗な空間が広がった。

予約の時間ギリギリになって、受付に顔を出す。

控えめの小さな声で「こんにちは」と声をかけると、20代くらいの清潔感のある格好をしたお姉さんが、にこりと笑う。

名前と予約時間を伝えると、保険証と診察券の提出を求められる。

「診察券はありますか?」

受付のお姉さんは尋ねる。

「あ、初めてで……」

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