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ドSな兄と暮らしています

第7章 ふたりのこれから 〜最終章〜

いつになったら、慣れるんだろう〜〜。
それが、贅沢な今の悩みだ。

「い、いってきます……」

私は小さい声で呟くように言った。
けれど、兄ちゃんは私の右腕を離そうとしない。

「汐夏。俺は?」

兄ちゃんは自分の頬を指さして、私の前にしゃがんだ。
とてもとても、意地悪な目をしていらっしゃる。

私にもしろと……!!

兄ちゃんが、さも何でもないかのような仕草で、私を下から見上げた。
それがなぜか無駄に色っぽくて、心臓を一突きされるような衝撃を感じた。

恥ずかしくてためらってしまうも、遅刻へのタイムリミットは刻一刻と近づいてきている。

ええい、もじもじしてる時間はない!

その笑顔に誘われるように、兄ちゃんの左頬に近づき……
目を瞑ると、ゆっくりと唇をつけた。

「よくできました」

もう一度、兄ちゃんは私の頭を撫でた。
私の頬が赤く染る。

「うぅーーっ」

恥ずかしさに小さく唸ると、兄ちゃんが握っていた私の腕を解放して、私の手におにぎりを握らせた。

「はい、いってらっしゃい〜、気をつけろよ〜」

間延びした兄ちゃんの声に言葉を返す余裕もなく、顔を真っ赤にして家を出た。

玄関のドアを閉めて、ひとつ息をつく。
おにぎりをトートバッグにしまった。
呼吸を整えて、駅までの道を急ぎ足で歩きだす。

これが私たちの日常になっていくんだろうなぁ……。
歩きながら、唇に残された兄ちゃんの頬の感覚に戸惑いながら思った。



私は今、ドSな兄と暮らしています。




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