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ドSな兄と暮らしています

第7章 ふたりのこれから 〜最終章〜

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あー、やっぱり起きられない〜〜!!

慌ただしく髪をまとめながら、トートバッグを手に取る。
学生証、ちゃんと入ってるっけ??

今日は特にギリギリだ。

火曜の夜はそういうことはやめとこうって話だったのに、どちらからともなくそういう雰囲気になって……
いつも以上に時間がなくなってしまった。

2人してしっかり寝落ちしたのに、兄ちゃんは早起きで、私を最後に起こしに来た時には、兄ちゃんとして怒っていた。

「汐夏〜、何時だと思ってんの? 俺、これ以上起こしに来ないよ」

と言い放たれて、めちゃくちゃ怖くて飛び起きたら…… あと30分で家出なきゃじゃん!!

もうアラーム兄ちゃんの脅しとかの方が良い気がしてきたとか思ったけど、言ったら必要以上に怖い顔されてからかわれそうだから、やめておく。

最近、ベッドタイムでさらに気づかされたけど……兄ちゃんって、やっぱりドSだし……。





「兄ちゃん、もう家出る〜!」

そう言いながら靴を履いていると、兄ちゃんが後を追ってきた。

「はい、これ、おにぎりな」

「ありがとう!」

両手で受け取ろうとすると、その腕を引かれて、兄ちゃんの胸の中に収まる。
抱きしめられて、いままで普通に動いていた心臓が飛び上がった。

突然兄ちゃんの体温に触れることには、全く慣れていない。

混乱しているうちに、おでこに1つ、唇をつけられる。


なになに、なんだ?!


不意打ちにドギマギして俯くと、顔を覗き込まれた。

「いってらっしゃい、汐夏」

と言われ、頭をぽんぽんと撫でられる。

これはもしや、いってらっしゃいのキスってやつ……??

兄ちゃんとの関係に新しいものが増えてから、不意にドキドキさせられることも増えた。


生きた心地がしないというのは、まさにこのこと。

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