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変態ですけど、何か?

第12章 再会と出会い

「お客さん、大丈夫ですか。何かあったの?」

ボーっと車窓の見つめるあたしに、女性の声が聞こえた。

あたしが、少し驚いて、
ドライバーさんの後ろ姿を見る。

そう言えば、タクシードライバーさんは、女性だったと思い出した。

乗った時に、気付いていたはずなのに、勇太君との事で頭が一杯だったあたしは、気にも止めなかったのだ。

「ええ、大丈夫です」

あたしは、ドライバーさんに答えた。

「だったらいいんだけど、慌てて乗って来られたから、トラブルでもあったのかなって・・・」

ドライバーさんが言った。
少しがらがら声だけど、何か安心するような響き。

「ありがとうございます。でも、ホントに何でもありませんから」

そう答えながら、あたしは彼女の優しさに、ちょっとウルッとした。
「だったらいいんだけど・・・
もし何か辛いことがあったのなら、お話くらいは聞きますよ。まだ、2~30分は掛かるから」

「ええ・・・」

包み込むようなに、あたしの気持ちが少し揺れている。

乗務員証に書かれたを見ると、早乙女靖子と書かれている。

「素敵なお名前ですね」

あたしが言うと、靖子が照れ臭そうに答える。

「早乙女って顔でもないんだけどね。ははっ!」

「そんなことないですよ。お声も素敵で、あたし、何だかホッとしちゃいました」

「そう?水商売が長かったから、こんながらがら声になっちゃったのに。
これでも、若い頃は声楽家を目指したりしてたんだけどねえ」

昔を懐かしむような表情で、靖子が言った。

「そうなんですか?」

「ええ。イタリアに留学も決まってたのよ。今からは想像もできないでしょ?
まあ、色々あって、結局行けなかったんだけどね。まあ、今では青春時代の、古き良き思い出よ」

「そうなんですか・・・。」

あたしは、ふと、立花玲子先生を思い出していた。

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