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変態ですけど、何か?

第12章 再会と出会い

「あの・・・」

あたしがもじもじしながら話し始めると、靖子は笑顔を湛えたまま問い返す。

「なあに?」

「早乙女さんのこと、靖子さんって呼んでも良いですか?」

「ははっ!何だ、そんなこと。じゃあ、私も里帆ちゃんって呼んで良いかな?」

「はい!里帆ちゃんじゃなくて、里帆でいいです」

「わかった。じゃあ、里帆。何を食べに行く?」

靖子の言葉に、あたしは笑った。

「ええっ!靖子さん、行き先決めずに走ってたんですかぁ?」

「あはっ!実はそうなのよ。だって、里帆の好きなもの、まだ知らないもの」

「じゃあ、ハンバーグがいいです。それから、靖子さんの歌が聴きたいな」

結局、近くのファミレスで夕食を済ませて、靖子の住むマンションに向かうことに決まった。



靖子のマンションは9階建てで、その一階が靖子の部屋だった。

2LDKのさほど広くない部屋だが、綺麗に整理された居心地の良い部屋だった。

あたしをリビングのソファーに座らせ、靖子はコーヒーを淹れてくれる。

ソファーの前には小さなテーブル、正面にはテレビがあって、その両サイドには、立派なスピーカーが据えられていた。

テレビ台の中には、オーディオセットや、CDが並んでいる。
テーブルの上には、オペラのCDジャケットと分厚い楽譜が置かれていた。

窓際には、カバーの掛かった電子ピアノが置かれている。


美味しそうな湯気を立てたコーヒー2つをお盆に乗せて、靖子がリビングに来た。

「どうぞ」

靖子がコーヒーをテーブルに置く。

「すみません、ありがとうございます」

カップを持って、コーヒーの香りを楽しみ、一口啜る。

「おいしい!モカ、ですよね?」

「正解!里帆もコーヒー好きなの?」
靖子が嬉しそうに言った。

「はい。高校時代に、音楽の先生に教えてもらって」

「音楽の先生?」
靖子は、不思議そうに聞き返した。

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