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変態ですけど、何か?

第12章 再会と出会い

「そう言えば、高校の先生に、色々教わったって言ったわね」

靖子は思い出したように言った。

「はい。高校の時、音楽の先生の自宅に伺って、教えてもらってたんです。その時、いつもコーヒーを淹れてくれて・・・。」

「そうなんだ。その、先生って、男の人?」

靖子の質問の意味を察して、あたしは答えた。

「違いますよぉ!女の先生です。新任で来られて、まだあまり、学校に馴染んでなくて、
それで、クラシック好きなあたしと色々お話するようになったんです」

「そうなんだ。
でも、学校の先生が個人的にねえ・・・」

靖子は、まだ何かいいたそうだったが、それ以上尋ねはしなかった。

「靖子さんは、『椿姫』お好きなんですか?」

あたしは話を逸らすように、テーブルの上のCDに話題を移した。

「そうなのよ。ベタだけどね。いろんな曲を聴いたけど、やっぱり私は椿姫に戻ってしまう」

「いいですよね。あたしも、椿姫がいちばん好きです。後は、フィガロとか、アイーダとか。
蝶々さんも好きだけど、なんとなく日本の演出に違和感があって、アリアくらいしか聴かないかな」

靖子は大きく頷いた。

「私もそうよ。ヴィオレッタ歌うのは、死ぬほど大変だけどね」

「ですよね。一幕なんて、ほとんど出ずっぱりだし」

「そうなのよ。ちょっとCD掛けて見ようか?」

靖子は立ち上がって、オーディオのスイッチを入れた。

あたしに背を向けて、オーディオを操作する靖子の姿をみながら、
あたしの心の中が少しざわめき始める。

玲子先生を見つめていた時のような目で、靖子の腰のくびれやワンピースから延びる脚を見つめて、
触れてみたい感情が高まってくる。

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