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変態ですけど、何か?

第12章 再会と出会い

6畳ほどの寝室の壁際に、ダブルサイズのベッドが置かれ、枕元には小さなサイドテーブルと、ランプが置かれている。

部屋の入口には、立派な洋箪笥。他には、何もないシンプルな寝室だった。

靖子に渡されたのも、ロングTシャツ。

あたしは、ブラウスとスカート、パンストを脱いだ。
ブラはどうしよう・・・。

少し考えて、外してしまった。


「ちょっと大きかったかな?」

リビングから靖子の声が聞こえた。

「だ、大丈夫です」

あたしは、答えた。

頭からTシャツを被ると、膝が隠れるくらいの長さがあった。
胸元が大きく開いていて、胸の谷間まで丸見えだ。
まあ、谷間と行っても、貧乳のあたしにとっては、なだらかな膨らみでしかないんだけど。

靖子が用意してくれたハンガーに、来てきた服を掛けて、リビングに戻った。

私が寝室から出ると、靖子が私の上から下まで舐めるように見て、言った。

「やっぱり、ちょっと大きめだったね。
でも、女同士だし、気にしないわよね?」

「はい。平気です」

あたしは、靖子の隣に腰をおろした。

『椿姫』は、前奏曲を終えて、乾杯の歌に入っていた。

椿姫は、アルフレッドという青年貴族と、ヴィオレッタという高級娼婦の悲恋物語である。

アルフレッドの求愛をヴィオレッタが受け入れ、蜜月が訪れる。
しかしアルフレッドの父親に説得され、彼の将来の為にヴィオレッタは悪女を装い、身を引くのである。
数年後、ヴィオレッタの病気を知り、訪ねてきたアルフレッドの前で彼女は息絶えてしまう。

オペラでは、乾杯の歌のあと、アルフレッドが主人公のヴィオレッタに愛を告白する場面に進んでいく。

そして、告白されたヴィオレッタの心情を表現するアリア、
『ああ、そは彼の人か』『花から花へ』
と、プリマのいちばんの見せ所へと続いて行く。

ロマンチックな音楽に促されて、あたしはさりげなく靖子の肩にもたれ掛かった。

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