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誓いのガーランド

第12章 花冠の代わりに 5

角村が、花実の方に寝返りを打つ。
衣擦れの音が大きく響いて、花実は手放しかけた意識を取り戻す。
花実も角村の方を向いた。
花実は静かに首を横に振る。
ベッドの上で向かい合って横になる。
どちらからともなく、近づいて抱きしめあった。

「謝らないで」

花実は小さな声で呟く。
後悔なんてしていない。むしろこうなって良かったとすら思う。謝らないで欲しかった。
こうなってしまったのは、花実が角村にキスをしたことも、原因なのだから。

「私ね……『ガーランド』のことがある前から、気になってた。でもね、毎日定時で上がるから、彼女が居るんだと思ってた」

「いないよ……」

角村が抱きしめる腕に力を込めた。
花実は苦しくなって、少しだけ笑う。
温かくなって、今度こそ意識が離れていきそうになる。

その時。角村が口を開いた。

「もう1つ、聞いて欲しいことがあるんだ。その、毎日定時で上がる理由にかかるけど……眠いかな」

彼は花実の体を気にかけた。
改めて声をかける角村に、何か違うものを感じた。

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