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不倫研究サークル

第2章 人妻の誘惑

「そうだろう、君には願望があっても、それを実践する為の知識も経験もない。
野球をやったことのない奴が、いきなり満塁ホームランを打てるか?」

田沼にたたみかけられて、僕は更にタジタジとなる。

「我がサークルでは、女性の心理に踏み込むために不倫をテーマに研究しているのだよ」
田沼は腰に手を添え、仁王立ちのポーズで『どうだ!?』と言わんばかりに胸を張った。

(あれ? さっき社会学の観点から云々って言ってなかったか?)

「森岡君、あいにく僕達は若い女の子と接する機会は少ないけど、女性と話せる機会は多く得られるし、きっと彼女作りにも役に立つと思うよ。
僕も上京したての頃は女の子と喋ることすら出来なかったけど、今ではそんな事克服してしまったからね」

岸本が横からフォローしてくれる。やっぱりこの人には近親感がもてる。


「さっそくだけど、うちら、この後すぐにサークル活動があるんだ。森岡も一緒に来てみれば分かるよ」

「サークル活動ですか?何をするんです?」

岡田がなれなれしく肩に手を回しながら圭に耳打ちする。
「このコンパが17時までで、そのあと新宿へ移動。そこでまたコンパさ」

岡田がウインクして、ニヤっと笑った。胡散臭い笑いだ。

「コンパって、相手は誰なんです?」

(まさか、女子大生か!?)


「残念だが、女子大生ではないぞ、森岡。
相手は人妻さ。19時に待ち合わせしている。うちらは片付けがあるから、お前も手伝え。
片付けが終わってから向かえば、丁度よい頃だ。年上の女性に可愛がってもらえ」

あれよあれよという間に訳も分からず、僕は不倫研究会に入部することになった。




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