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不倫研究サークル

第9章 ハプニング

六月。

僕は、以前から延び延びになっていた陽菜とデートの約束を果たした。
それで今、富士山の麓にある遊園地へと来ている訳だ。

絶叫系のマシンが多数存在する若者に人気のスポットでもある。

僕も若者なのだが……、ちょっと、いや、かなりノリが違う空間である。

「ねえ、圭。次はアレに乗ろう~」

陽菜ははしゃぎまくって、次から次へと絶叫系の乗り物を制覇していくが、僕は堪ったものではない。

なにしろ、こういう絶叫系のマシンに乗るのは、殆ど人生初なのだから。

「ひ、陽菜。少し休まないか?」

「え~、せっかくのフリーパスなんだし、勿体ないよ」
「全部、二回ずつ乗るよ」

JCの体力は底なしなのか?

僕は、そそり立つ絶叫マシンのレールを見上げて、ため息をついた。

「でも、晴れて良かった~せっかくのデートなのに雨だったら台無しだもん」

昨日まで、関東を中心に豪雨が続いていて、今日は久しぶりに青空が広がったのだった。

内心、今日まで雨が降ってれば絶叫マシンに乗らなくて済んだのに、と思ったのは陽菜にはナイショだ。

僕は、宇宙空間にでも舞い込んだかのように平衡感覚を失い、フラフラになりながら陽菜の後をついて行く。

(まるで子犬のようにはしゃぐな……)


なんだかんだと言いながら、最近、ふさぎ込んでいた僕にとっては良い気分転換にはなっていた。

(陽菜は、もしかしたら気づいているのだろうか?)

ことさらテンションを上げているのは、あの子なりの気遣いなのかもしれないと思った。

JCに元気付けされるようじゃ、僕はまだまだ未熟だな。

「ほら~、シャキッと歩きなよ」

陽菜が手を伸ばす。

苦笑いしながら、小さな白い手を握り「もうヤケクソだ、どんどん行くぞ!」

僕も空元気を発揮する。




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