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不倫研究サークル

第6章 一触即発

「ほら、陽菜。お姉さんの邪魔をしちゃダメだよ。見学、見学」

僕は一刻も早く、この場を離れたかった。

陽菜の手を引いて連れ出そうとしている僕に、小梢が追撃する。

「あ、圭君。お邪魔して悪いんだけど、わたし午前中で受付係は終了なの」

「う、うん」

何か悪い予感がする。


「メッセージを送るから、わたしも一緒にまぜて」

有無も言わさない言い方だった。

すぐさま陽菜が反応する。

「は~? 圭はワタシとデートしてるのよ、なんでアナタが混ざるのよ?」

「だって、わたしは圭君のカノジョだもの。いくら”子供”でも、女の子と二人きりなんて看過できないでしょ」

またも子供扱いされて、陽菜は地団駄踏んで悔しがった。

「ねえ、圭。 ワタシ、この人キライ」

「まあ、まあ、落ち着いて陽菜。後ろに人も並んでるし邪魔になるだろ」

僕は陽菜が余計な事を言わないうちに連れ出したかった。
陽菜の肩を抱き後ろから押すように、この場を離れる。

「それじゃ、後で。小梢」

それだけ言うと、逃げ出すように受付を後にした。
ブツブツと文句を言う陽菜を連れて。


それにしても、小梢のことがますます分からなくなった。

僕の事を好きだと言ったのに、恋人になるのは待ってくれと言ったり。

人見知りだと言っていたのに受付でにこやかに対応したり。

中学生の女の子を相手に好戦的な態度をとったり。

強引にまぜてくれと言い出したり。


そうだ……、出会いからして不自然だった。

何なのだろう?




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