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不倫研究サークル

第6章 一触即発

「そ、そんな事まで話したの?」

「ええ、話してくれたわ」

「呆れたけどね……」

これは形勢不利も甚だしい。もはやどうにも繕えない。

「心配しないで。こんな事になるんじゃないかって思ってたから」

「なんだか、すごい、お見通し感があるんだけど」

「だって、わたしは圭君の事をよく分かってるもの」

なんだか狡いと思ったが、先ほどの反省から、ここは大人しく従う事にする。


小梢は、空いている手で僕の手を握る。

小梢を真ん中に、僕と陽菜で挟む形で歩いた。

小梢が握っている手に力を込めて、僕も強く握り返した。

小梢にどんな秘密があるのか分からないし、不安でもあるが、一つだけ揺るぎないものがある。


僕は、小梢が好きだ。


「圭君、いつか、ちゃんと話すから……、わたしも勇気を出すから」

「待って欲しい」

「うん、待つよ」



初夏の日差しが心地よかった。


こんな日がずっと続くものだと思っていた。


小梢の告白を聞くまでは……。




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