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不倫研究サークル

第7章 小梢の過去

五月も終盤に差し掛かっていた。

GWの最終日に陽菜とのデートに乱入した時、小梢はちゃんと話すと言ってくれた。

そして、その機会は程なくしてやってきた。

いつものように一緒に講義を受けた後、僕たちは学食でお茶を飲みながらお喋りをしていた。

「ねえ、圭君……」

不意に小梢が話を切り出す。

「今度の土曜日だけど、家庭教師のバイトが終わった後に会えないかな?」

「うん、夕方には終わるから、何処かでご飯でも食べる?」

「そうね……、圭君のアパートの近くで食べたいな」


「いいけど、小梢の家からは遠くない?」

僕の住むアパートと、小梢が住んでいるアパートは大学を挟んで反対方向にあり、かなり離れている。


「だから……その……、泊まっても良いかな?」


「え?」


「この意味、分かる……よね?」


どういう意味だろ? 分かっているような分かっていないような、僕はまた何時ものように思考停止に陥る。

「え……と、それって、つまり……」


(こ、これは、もしや! 童貞卒業のフラグが立った、という事で良いのか!?)


僕は、思わず喉をゴクリと鳴らした。
しかし、挙動不審に陥っている僕とは裏腹に、小梢はいたって落ち着いている。



「その……、言いにくいんだけど……、ひ、避妊の準備は圭君がしてね」
「わたしが準備するには、ちょっと恥ずかしい」


(うおーーー、ついに、ついに、この時が来た!!)

僕は、興奮を抑えるのに全集中する。

「分かった、僕のほうで準備しとくよ」


「それから……、先に言っておくけど」

「ん?」

「わたし、初めてじゃないから……、ゴメンね」

そう言って、小梢は目を伏せた。



小梢が言った『考えさせて欲しい』というのは処女じゃない事と関係しているのだろうか? だとしたら、僕は小梢がたとえヤリマンでも構わないと思った。

たとえ小梢にどんな過去があっても、絶対に気持ちが変わることはない。


僕は、小梢が好きだ。




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