不倫研究サークル
第7章 小梢の過去
ーー土曜日
僕は陽菜の家庭教師だというのに、そわそわして集中できないでいた。
「圭……、また集中してない」
「ん? そんなことないぞ、闘魂注入したじゃないか」
「闘魂注入って、キスのこと?」
上唇と鼻の間にペンを挟み、陽菜がクルリと椅子を回して僕を見上げる。
「あれは、嬉しかったけど、何かアヤシイのよね」
(く! 相変わらず鋭い!)
僕は、しばらく陽菜とキスはしていなかったが、今日は機嫌よく授業を受けてもらうために久しぶりにキスをしたのだった。
陽菜は、ペンを挟んだまま目を細める。
明らかに疑いの目を向けていた。
「もしかして、小梢さんとデートなんじゃないの?」
毎度毎度、陽菜の感の鋭さには舌を巻く。
「陽菜には関係のない事だ」
「なんでよ? ワタシとのデートもまだなのに小梢さんだけ狡い」
「しかたないだろ、中間テストもあったんだし、そっちが優先だ」
僕の指導のおかげ……でもないのだが、陽菜は中間テストで学年3位の好成績をおさめていた。
そのご褒美もかねて、今度デートしようという事になっていたのだ。
「ちゃんとデートしないと、小梢さんに言いつけるからね」
「言いつけるって?」
「ワタシ、小梢さんとメッセージのやり取りしてるの」
(! いつの間に)
「ず、ずいぶんと仲良くなったものだな」
「まあ、同じ人を好きになった者同士、フェアに行こう、みたいな感じになったのよね」
「そうか、他にはなにか条約とか結んでないだろうな?」
「なに? それ 笑」
「あ、でも変な事言ってたな~」
「どんな?」
「『もし圭君が困っていたら助けてあげて』って」
「どういう意味なんだろ?」
「さあ? 圭がフラフラしているから、見張っててって意味かもね 笑」
以前から、漠然と感じていた不安が実体を帯びてきた感覚を受ける。
僕は何かモヤモヤしたものを感じた……。
僕は陽菜の家庭教師だというのに、そわそわして集中できないでいた。
「圭……、また集中してない」
「ん? そんなことないぞ、闘魂注入したじゃないか」
「闘魂注入って、キスのこと?」
上唇と鼻の間にペンを挟み、陽菜がクルリと椅子を回して僕を見上げる。
「あれは、嬉しかったけど、何かアヤシイのよね」
(く! 相変わらず鋭い!)
僕は、しばらく陽菜とキスはしていなかったが、今日は機嫌よく授業を受けてもらうために久しぶりにキスをしたのだった。
陽菜は、ペンを挟んだまま目を細める。
明らかに疑いの目を向けていた。
「もしかして、小梢さんとデートなんじゃないの?」
毎度毎度、陽菜の感の鋭さには舌を巻く。
「陽菜には関係のない事だ」
「なんでよ? ワタシとのデートもまだなのに小梢さんだけ狡い」
「しかたないだろ、中間テストもあったんだし、そっちが優先だ」
僕の指導のおかげ……でもないのだが、陽菜は中間テストで学年3位の好成績をおさめていた。
そのご褒美もかねて、今度デートしようという事になっていたのだ。
「ちゃんとデートしないと、小梢さんに言いつけるからね」
「言いつけるって?」
「ワタシ、小梢さんとメッセージのやり取りしてるの」
(! いつの間に)
「ず、ずいぶんと仲良くなったものだな」
「まあ、同じ人を好きになった者同士、フェアに行こう、みたいな感じになったのよね」
「そうか、他にはなにか条約とか結んでないだろうな?」
「なに? それ 笑」
「あ、でも変な事言ってたな~」
「どんな?」
「『もし圭君が困っていたら助けてあげて』って」
「どういう意味なんだろ?」
「さあ? 圭がフラフラしているから、見張っててって意味かもね 笑」
以前から、漠然と感じていた不安が実体を帯びてきた感覚を受ける。
僕は何かモヤモヤしたものを感じた……。